
外房線、内房線の沿線住民との連携強化も訴えられた集会=君津市で
JR東日本が久留里線の久留里-上総亀山間(9・6キロ)の廃線方針を示した問題を巡り、沿線住民有志が「久留里線の廃線を許すな!住民の集い」を千葉県君津市で開いた。廃線は地域の交通手段を奪うだけにとどまらず、観光資源を埋もれさせるなど、悪影響を広く及ぼす恐れが指摘された。(堀場達)
久留里駅前の上総公民館で、久留里線と地域を守る会(三浦久吉代表)が、11月29日に主催した。廃線への危機感を共有する外房線と内房線の利用者をはじめ、市外からも参加があり、約130人が会場に詰めかけた。
集会では久留里線の存廃が取り沙汰されるようになった2022年以来の動向、守る会などが進めてきた市、県、国との話し合い、署名活動について経過報告がされた。また全国の廃線事情に詳しい日本大学の桜井徹名誉教授(公益企業論)が問題点を説明した。
久留里-上総亀山間では代替バス運行が提案されているが、桜井さんは「これまでバス転換した路線のほぼすべてで、乗客が減少している」と主張。JRが進めてきたローカル線廃止は「国鉄民営化以来40年の経営責任放棄」との意見を述べた。
参加者からは「廃線対象区間周辺にはゲンジボタルやモリアオガエルの生息地、巨樹の森などがあり、地域資源を生かすためにも存続させるべきだ」「一部の赤字区間を切り捨てて全体としての収益を下げてしまう」などの声が上がった。中国地方のローカル線で行われているイベントを楽しむために、新幹線などの乗客が増えているという、具体例も紹介された。
集会で採択されたアピールは、廃線が若者の流出や人口減少を加速させるとした上で「一部が廃止されたら久留里線全線、内房線、外房線が廃止の的になるのは明らか」と、今後も周辺地域と連携して活動することを訴えた。

