JR久留里線(久留里・上総亀山間)利害関係人意見陳情書
[これまでの経緯]
JR久留里線(久留里・上総亀山間)については、千葉県が東日本旅客鉄道株式会社千葉支社(以下JR東日本)の申し入れを受けJR久留里線(久留里・上総亀山間)沿線地域交通検討会議(以下県交通検討会議)を設置し、2023年5月から2024年10月までの間、計5回会議を開催し検討してきた。その結果、2024年10月の第5回会議で~沿線地域の利便性の高い公共交通への提言~と称して、「当該地域で提供されている交通サービス(鉄道・高速バス・デマンド交通など)はこれらの移動需要に適していない、自動車中心の交通体系に取り組むべき」との最終報告書を作成し、今後は君津市地域公共交通会議(以下市公共交通会議)で議論すべきとの意見を付して提出した。
それを受けてJR東日本千葉支社は、2024年11月「同区間の鉄道は、バス等を中心とした新たな交通体系にモードチェンジを図ることが必要」との見解を記者会見で発表した。
さらに君津市は、同年12月の定例市議会最終日の市長挨拶で「JRの発表をそのまま受け入れバス転換をする」ことを表明した。その後君津市は、市公共交通会議を開催して、これまでの経緯を簡単に報告した後、当該区間の廃線後のバス運行計画を作成し、久留里(2025年7/31)、松丘(同8/5)、亀山(同8/6)の三地区で住民説明会を開催した。そして、その内容を同年10月14日に開催された第2回市公共交通会議に報告し、さらに第3回(同年12月22日)及び第4回(2026年3月22日)を開催してバス運行計画は大方了承されたものとして、次回2026年6月予定の会議で正式に決めたいとしている。
この間JR東日本は2026年3月9日に、廃止予定の一年前までに提出することとなっている鉄道事業法第28条の2に基づくJR久留里線(久留里・上総亀山間)の事業廃止届を正式に国土交通大臣に提出した。そして5月27日には同事業法第28条の2の2項に基づく関東運輸局による地方公共団体及び利害関係人への意見聴取が行われる運びになっている。
一方、この間には、久留里線の行末を心配する声が当該地域のみならず様々なところから上がっていた。とりわけ2023年3月久留里線沿線地域の人々で結成された「久留里線と地域を守る会」の諸兄姉は、久留里線廃止反対の署名運動、当時の斉藤鉄夫国土交通大臣への陳情、青木愛参議院国土交通委員会委員長への協力要請、熊谷俊人千葉県知事への意見書、石井宏子君津市長への意見書、県交通検討会議委員等への要望書、君津市議会への二度にわたる陳情活動、君津市議会各会派への働きかけ、市地域交通会議委員への働きかけ、マスコミ各社との記者会見、など広範な運動を展開し、各方面に久留里線の存続を求めて活発に動いてきた。さらに、直近ではこの「久留里線と地域を守る会」が久留里線の存続を求めて始めた二度目の署名運動に弾みをつけようと、亀山地区の住民有志がその動向に呼応して「久留里線の存続を求める亀山の会」を立ち上げ積極的な運動を開始した。また、2026年3月16日には、君津市弁天公園から君津市役所までデモ行進する「JR久留里線の久留里~上総亀山間9.6Kmの存続を求める3・16君津集会」が開催され、各方面から100名を超える参加者が行進し沿道市民へ久留里線の存続を訴えるととともに、君津市長へ久留里線(久留里・上総亀山間)存続の要望書を提出した。
しかしながら、これらの運動で地域住民や久留里線利用者からの久留里線を存続させようとの熱い声援が各方面から盛り上がっているものの、JR東日本や千葉県知事、君津市長の姿勢を転換させるまでには残念ながら至らず、今般の廃止届の提出になってしまっている。
したがって、これまでのJR東日本の自らが観光資源を活かそうとしない経営者視点の欠落、千葉県の地域住民の意向を無視した議論の進め方、君津市の住民の声を封殺する態度や豊富な地域資源をないがしろにした住民・利用者不在の対応には大いに疑問が残るので、以下のとおり筆者は利害関係人として意見陳述するものである。
1.[鉄道事業法,法施行規則、各種通達等の趣旨に照らしての疑問を述べる]
JR久留里線(久留里・上総亀山間)について論じるときには、まず鉄道事業法の趣旨を理解しておく必要がある。
そもそも鉄道事業法(以下法と呼ぶ)では、鉄道(JRを含めすべての鉄道を指す)を事業廃止(路線の一部廃止も含む)するときは、廃止の一年前までに国土交通大臣に届ける必要がある。(鉄道事業法第28条の二)
また、事業者は省令の定めるとろにより、関係地方公共団体及び利害関係人の意見を聴取するものとしている。(鉄道事業法第28条の二の2)
さらに、この他にも鉄道の廃止にあたっては、法はもとより、法施行規則、数度にわたる国土交通省指針・要領、地方運輸局鉄道部長からの通達などできめ細かく定められている事項がある。例えば、国土交通省鉄道局の幹線鉄道課長と都市鉄道課長の連名で北海道運輸局鉄道部長宛に発した「鉄道事業法の一部改正後における鉄道事業の廃止に伴う調整の実施について」の文書には、鉄道事業の廃止にあたっては、国土交通省の要領で、地元協議会における調整、廃止の届け出、意見聴取など様々な留意事項が書かれており遺漏なく取り計らうよう要請している。例を挙げると、Ⅰ.地元協議会における調整についてでは、調整の開始、調整方法、地元協議会の構成員、地元協議会の運営、調整の結果、Ⅱ.廃止の届出では、廃止の届出、Ⅲ.意見聴取では、意見の聴取の実施に係る関係都道府県知事への通知、廃止事案の概要及び意見の聴取の実施の公示、利害関係人の考え方、意見の聴取の申請、意見の聴取の開催の通知、意見の聴取の実施、Ⅳ.廃止の日の繰り上げ、など事細かく記載されている。この文書は他の都府県の場合にも適用されると解される。さらに国土交通省告示では、「新会社がその事業を営むに際し当分の間配慮すべき事項に関する指針」として、国鉄からJRになったときに当分の間配慮すべき事項について数度に渡り発せられているものもある。これらの法、法施行規則、国土交通省指針・要領、地方運輸局鉄道部長からの通達に共通している精神は、国鉄から民間への移行に際しての経営努力、沿線住民への配慮や地域の公共交通事業者としての責任を求めるとともに、鉄道廃止に伴う各種会議の公開、民主的な運営、地域住民や利用者の声を真摯に受け止める姿勢が求められていると記載されているものと理解できる。
それだけに、鉄道事業の廃止はより慎重に取り扱うべきであり、久留里線も間違いなく同様で、JRはもちろん、千葉県、君津市の担当者、そして該当地域の住民もこれらを読み込み趣旨を理解しておくことが大事である。
然るに現在、JR東日本がJR久留里線の一部廃止を法にのっとり国土交通大臣に届け出て一連の手続きを進めようとしているが、今までの進め方は法の精神にのっとり住民の意見や要望を丁寧にくみ取っているとはとても思えない。また、現在の久留里線の観光客等の増加を無視したJR東日本の廃止届の提出となっている。
さらに、JR東日本の久留里線の一部廃止届を受けての今回の意見聴取申請に伴う公示文書も、そこに記載された「意見聴取は、廃止を行った場合における公衆の利便の確保に関し行うものであり、廃止の是非を問う場ではありませんのでご承知おきください」とあるのは、法、施行規則、各種通達にある利害関係人の意見を丁寧に聴くとの趣旨に反しているのでまず指摘しておきたい。
また、先に述べたように国土交通省告示では、国鉄からJRになったときに当分の間配慮すべき事項について「新会社がその事業を営むに際し当分の間配慮すべき事項に関する指針」として数度に渡り記載している。その中では、国鉄の経営形態の抜本的な改革を述べており、例を挙げると「国鉄改革の実施後の輸送需要の動向その他の新たな事情の整備の変化を踏まえた現に営業している路線の適切な維持及び駅その他の鉄道施設の整備当たっての利用者の利便の確保に関する事項」が記載されている。そこでは、「新会社は、国鉄改革の実施後の輸送需要の動向その他の新たな事情の変化を踏まえて現に営業する路線の適切な維持に努めるものとする」「現に営業している路線の全部または一部を廃止しようとするときは、国鉄改革の実施後の輸送需要の動向その他の新たな事情の変化を関係地方公共団体及び利害関係人に対して十分に説明するものとする」「新会社は、駅その他の鉄道施設を整備するにあたっては、~省略~当該鉄道施設の利用者の利便の確保に配慮するものとする」などをうたっているが、これまでの流れでとてもこのような内容を踏まえた廃止申請とは思えない。今回のJR東日本の廃止届を必要とする理由が「鉄道の特性である大量輸送のメリットを発揮できていないため」とあるが、後段再度述べるがJR東日本は独断で久留里線の久留里以降のダイヤを極端に減らし、観光重要を取り込もうとの経営努力も疎かにして「赤字で廃止」をただ待つのみの地域の公共交通を担う事業者としての視点と責任感が欠落していると言わざるを得ない。
さらに、久留里線の件を法に定められているとおりに説明し意見を求める場合の地方公共団体は、千葉県(知事)がこれに該当することになる。しかし、知事が単独で回答するわけではなく、当然知事は該当する地域の市町村長の意見を聞くこととなる。したがって、久留里線の該当区間(久留里・上総亀山間)の場合は、知事は君津市長に意見を聞くこととなる。
君津市長も単独での回答ではなく住民や地域に理解を得る必要があり、住民、利用客や議会等の意見を丁寧に聴くとともに、該当区間や沿線地域のまちづくり、地域資源の活用方策などとも照らし合わせて検討し回答することが必要となる。
そこで、千葉県はJR東日本千葉支社から久留里線(久留里・上総亀山間)について、沿線地域の総合的な交通体系についての議論の申し入れを受けた際に、知事の意見をまとめる手立てとして、JR久留里線(久留里・上総亀山間)沿線地域交通検討会議を設けたものと思われる。同様に君津市長も市長としての意見をまとめる際の手立てとして既存の君津市地域公共交通会議の活用を図ったものと思わる。
しかし、後段で述べるが県が設けたJR久留里線(久留里・上総亀山間)沿線地域交通検討会議及び君津市の君津市地域公共交通会議のメンバーや運営方法に大いに問題がある。
したがって、ここではまず法、法施行規則、各種通達文章等に照らし、また、当該沿線住民、利用者等の意思を再度確認し当該区間の存続を求めることを提案・陳述しておきたい。
2.[久留里線の整備、維持、管理に地域住民、行政がいかに尽力してきたかを述べる]
久留里線は1912年に木更津~久留里間が千葉県営鉄道として開業し、1923年に国(国鉄)へ無償譲渡され、さらに1936年に上総亀山駅まで延伸していて全長32.2kmである。
この間地域住民の皆さんは、辺境の地であるこの地域に鉄道を誘致するために、また鉄道敷設後の維持管理に大変な努力と協力をしている。一例を挙げると鉄道の誘致のために、自らの土地を鉄道用地として提供するため担保に入っていた土地の借金を返済してまでして提供したり、先祖のお墓を移転してまで誘致に奔走した実話が随所に存在する。また、各駅舎のトイレの清掃やホームへの花壇の設置、除草などにも今でも積極的に協力している。また、直近では東横田駅のホームの待合室の屋根が2019年の台風被害で破損したがJRに再三要望しても修理しないため、袖ケ浦市が数百万円を支出してミニ待合室を設置している。また同駅利用者のために平川交流センターの駐車場の利用を許可するなどの利便性に配慮している。
このように久留里線の整備、維持管理には、地域住民の私財提供、行政の協力は枚挙に暇がなく、JR東日本の廃止届はこれらの地域住民の熱意と歴史を無視した理不尽な扱いと言える。
3.[千葉県は県交通検討会議の議論を別組織でやり直しをすべきである]
事前に行われた千葉県の進め方も問題がある。
県交通検討会議は重大な問題にもかかわらず限られたメンバーで運営も閉鎖的で、かつ非民主的であった。この種の会議は多様なメンバーで公開での議論は必然で、鉄道事業法等の趣旨にもうたっており、非公開で密室での議論は最も非難されるべきである。
県交通検討会議の構成は、千葉県が事務局となり県担当次長(のちに部長)、君津市部長、JR東日本千葉支社、久留里、松丘、亀山の住民代表(地区自治会長で、本人たちは住民の代表ではないと言っている)、学識経験者たる大学担当教授(当時)の計7名が委員で、オブザーバーとして木更津市、袖ケ浦市、国土交通省2名となっていた。これでは、当該地域の様々な年齢層や女性の声、観光客をはじめとした利用者の声を反映するのには不十分であるのは明白であった。そこで、ここに幅広い議論と民主的な運営を期待して、商業関係者、観光事業者、地域や利用者からの公募委員、学識経験者の複数採用、特に、これからこの地域を担うであろう若者や女性の登用は必須であった。また、同路線の運行地域であり、ある意味運命共同体ともいえる木更津市、袖ケ浦市も委員に昇格させ議論を活性化させるべきであった。
これらの意見は当初から各方面から出ていたが、当該の君津市もまた事務局である千葉県も取り上げになぜか消極的であった。特に広範な面積を掌る千葉県の担当部署は手薄で、委員はのちに若干改善されたが当初は次長級であり、担当職員も2~3名でそれも皆兼務する職員で力の入れようが限られ、最初からJRペースで県交通検討会議が進む要素となってしまった。このため、住民代表が要望し2023年6月から7月に亀山、松丘、久留里の三か所で行われた住民説明会では、220名が出席し熱心な討論が繰り返され148項目の意見が出されたが、その取扱いはただ単に聞き置くだけで最終報告書の巻末に参考資料として添付されただけであった。そこで出された意見の大半は「鉄道を残してほしい」「午前中約5時間半、午後約3時間の空白ダイヤを元に戻してほしい」「この地域には豊富な地域資源がある、活用を」「鉄道がなくなると益々地域が衰退する」との声が大多数であったにも拘わらずにだ。また、亀山地区の住民代表が住民に行った独自のアンケート調査では、約49%を超える住民が存続を希望し、約32%のバス転換もやむなしと答えた方々を大きく上まっていたが、これらの声も披露されたにもかかわらず全く無視されてしまった。本来なら、これらの貴重な意見と要望を真剣に検討・分析し、久留里線の収益改善に役立てる必要性があったはずなのに全く議論もしないで素通りしてしまったのである。そして県交通検討会議は、委員の誰一人発言していない「住民が現状でどんな交通を利用しているか」を調査するとの座長見解を発し、交通利用実態調査を行うアンケートに問題をすり替えて実施したのである。
その結果は、鉄道ダイヤに8時間半の空白がある状態で行う現状調査に住民はあきれて、行政が行うアンケートとしては極めてみじめな回答率でようやく半数の住民が回答しただけであった。しかもその結果を持って鉄道利用者は少数であると結論付けたのである。これは、アンケート結果鉄道利用者は少ない、住民の役に立てていない、ゆえに鉄道廃止、そしてバス路線への転換へ、との結論に導くためのJRの描いた導線に使われたと言わざるを得ない。
冒頭述べたように、多様なメンバーがいたなら久留里線の現状分析をきちんと行って、その結果をもとに収益の改善策と経費の削減策の検討、すなわち沿線の観光資源を活かした利用客の増加策、久留里駅、平山駅、上総松丘駅、上総亀山駅のそれぞれの駅周辺地域から各駅を経由し買い物や医療施設等へのミニバスの運行方策、各駅への駐車スペースの確保、乗客へのポイント付与などの利益還元策、お土産用に久留里線名物の開発、それらへの行政の協力支援体制、沿線住民によるボランティア活動など様々な改善策が浮上したと思われる。場合によっては下部組織を作っての分科会方式の導入や市民を巻き込んだ討議方式の導入も幅広い声を聴くための手段としては考えられたと思い誠に残念であった。
繰り返すが、県交通検討会議の第一の目的とそのためになすべきことは、久留里線の赤字を分析・減少させる改善策を導き出すことで、そのための市民参加と行政の役割等を議論せずJR東日本の言い分をそのまま承認する組織ではなかったはずであることを指摘しておきたい。
さらに、議論の透明性を確保するための会議の公開や議事録の公開を各方面から指摘されていたが、聞く耳を持たない県事務局の姿勢は大いに非難されるべきであった。しかも、会議終了後の記者会見では、藤井座長が会議で誰も発言していない内容を一方的に座長見解として発表していたことは言語道断であった。会議は公開で実施して見聞きした人々の声を議論の俎上に載せて検討することが真の開かれた行政であるはずで、行政が事務局を担当する会議の原則を逸脱した大変残念でまさに不条理であった。地元協議会での会議公開の原則は法での各種文書の中で謳っており、この点は熊谷千葉県知事のリーダーシップにも大いに疑問が残った。また知事は、2025年4月に全国の29の知事が赤字ローカル線の存続と維持、災害時の復旧支援、国の責任明確化などを求めて、当時の石破首相に提出した「全国的な鉄道ネットワークのあり方に関する特別要望」になぜか加わっていない。
全く別の問題だが、熊谷知事は都市の開発や成田空港の機能強化など都市部の問題には関心を持つが、南房総や過疎地の問題、残土や自然の環境破壊などには関心が比較的薄いと思われる。その懸念が顕著に表れたのが鴨川のメガソーラーの問題で、知事は当初は工事は適法であると言っていたが、先般地元の団体や世間の批判に押され工事の一時中止を表明せざるを得ない状態に追い込まれ、直近では現場の空からの視察にも初めて臨んでいた。久留里線への問題意識も同様で、当初から房総の辺境での出来事にはあまり関心がなかったのではないかと言わざるを得ない。さらに、冒頭述べた法と関係規則や通達等では、地元協議会を設けるときに議長を誰が務めるかや意見聴取の仕方、取り扱いなどにもきめ細かく規定しているが、今回の県交通検討会議はそれらに合致していない。さらに、筆者は令和7年11月10日付で「JR久留里線(久留里・上総亀山間)の存続を求める意見書」(別紙1)を各所に提出したが、同文を千葉県知事にも提出しておりその回答を先般受け取っている。その回答書は千葉県総合企画部交通企画課長名で出されていたが、知事は筆者の意見書及び県の回答書の内容を把握して承認しているか、と確認したところ担当副課長の回答は確認しているとの回答であった。しかしその回答書の内容は筆者の主張に正面から回答せず、ただ各会議に県も出席している、と経過を簡単に記載されただけの県民を愚弄した知事の見識を疑う内容の回答書(別紙2)となっていた。
したがって、法の趣旨を生かし知事がJR東日本に関係地方公共団体の長として回答するには、今般の県交通検討会議の組織と議論のあり方については誠に不十分で、今からでも遅くはない、別組織で真に住民の声をくみ取る組織を作り、十分な時間をかけての議論をやり直すことを提案するものである。
4.[君津市は当該区間の住民の声・意見を聞いていない!市長は地域の声、利用者の声を集約しJR東日本に伝えるべきです]
地元君津市の対応にも大いに問題がある。
まず、第一に、当該自治体の首長としての市長の政治姿勢の問題である。
当該の久留里線の沿線は、後段で述べるが多くの魅力的な地域資源がある。市が使っているドローンで空撮した観光宣伝用の動画にもこれらは使われており、このことは単に奥まった一地域の地域資源としてではなく、君津市全体、さらに南房総、そして千葉県としても貴重な財産であることを物語っている。その中を走る久留里線という稀有な鉄路は、単に辺境の地を走る一民間の鉄路としてだけではなく君津市の地域全体、千葉県の鉄路としても守っていく義務と責任がある。先に一部述べたように千葉県営鉄道として発足した時には、地元地域住民の皆様は様々な形で私財を提供するなどしてその発足に協力してきた。君津市長は、2022年にJRが久留里線を含むローカル線の収支を発表した際には「久留里線は市民生活に欠かせない」と言っており、また、2024年の市議会での一般質問でも久留里線を残してほしいとの質問に、「皆さまの声をしっかりと受け止めさせていただきます」と答弁している。
それなのに、県交通検討会議の最終報告書が出された時点で態度を豹変している。JR千葉支社長が記者会見前に市長を訪れてバス転換を伝えた際に何も反論すらしないでただ聞き置くだけで、その後に市議会最終日の市長挨拶の中で「JRの考えを受け入れバス転換を容認する」と発言をしている。議会へも市民にも、さらに該当地域にも、鉄路を廃止しバス転換へ至る理由を全く説明しないでである。
石井市長は市議会での答弁や市民との対話の機会にも自らが正面から質問者に丁寧に回答することを避けている。筆者も君津市議会を数回傍聴しているが、市長は議員の一般質問に、一回目の答弁で自らが答弁に立たず部長以下が答弁している場面がほとんどであった。一般質問は議員が市民を代表して市長に質問するのである。市長の守備範囲以外の例えば、教育長、消防長、選挙管理委員会、農業委員会、監査委員などへの質問内容であれば市長以外の部署の責任者が最初から答えるのが通例だが、また守備範囲が広い県知事の場合は別として、第一質問には首長である市長が自ら答えるべきである。久留里線に関する質問にも部長が答弁に立つのがほとんどで、前述の「皆さまの声をしっかり受け止める」との答弁も質問者に度々促されてやっと市長が答えた一文だ。
同様に市民との対話の場でも、市長はこの件についてJRとともに自らも説明するべき立場でありながら、一度も足を運んでの直接説明の機会を設けず、また久留里線の存続を求める「久留里線と地域を守る会」及び「久留里線の存続を求める亀山の会」の再三の面談要望にも応じていない。
首長は王様ではなく政治家である。しっかりと自らの肉声で直接政策を語り説明する責任があると指摘しておきたい。
第二に、県交通検討会議の委員として参加していた君津市選出の行政委員が地元の声を発言していないことである。
先述したように県交通検討会議については、組織、議論の進め方、会議の非公開、会議後の記者会見での発表の仕方、など様々な問題点があったにもかかわらず君津市から代表して出席していた部長委員は、そのことに対して議事録の要旨を見る限り全く意見を述べていない。また、会議は、久留里線の存続方策、赤字減少方策についても議論すべきなのにその点も全く発言してない。君津市長も該当する自治体の首長として、考え方を委員である部長に指示していたのか甚だ疑問である。冒頭に述べたように2023年に三か所で開かれた住民説明会では、参加した人々が様々な声を挙げていて、そのほとんどが久留里線を存続してほしい、ダイヤを増やしてほしい、との声であったはずです。また、亀山地区で自主的に実施した住民アンケートでは久留里線を残してほしいとの声が圧倒していた。
それらの声を県交通検討会議に反映し、実現のために尽力することが該当する市から選出された委員の仕事であり、市長としてもそのことを指示するのが地元首長としての役割であるはずだ。何のために、誰のために出席したのか、まったく理解できません。
第三に、君津市長の「赤字だから仕方がない」「民間会社には意見は言えない」の発言に疑問がある。
この発言は、久留里線の件を問われたときに市長がことあるごとに発言している言葉で、筆者も直接聞いている。果たして、そうであろうか?赤字であろうが、民間会社であろうが、地域の公共交通を担い法律でその存続を定められている事業者には、地元の首長としてきちんと意見を言うのは当然の権利であり、また義務でもある。まちづくりや市民活動に支障があれば民間でも赤字の組織でもその問題に毅然と対処するのが首長である。JRは法律で定められており、冒頭の鉄道事業法の趣旨を正しく理解すれば、地域の声を代表して県知事に意見具申できるのは市長である。石井市長は県議時代の経緯を基に熊谷知事との仲を強調していたが、そうであれば住民説明会での意見をきちんと受け止めて、赤字であればその改善策を職員や地域の方々とともに検討し、県に提言していくのが首長としての姿である。地域の代表者としての役割をきちんと果たしていくべきだ。
第四に、君津市主催で2025年7月から8月に三地区で行われた「バス運行計画」に関する「住民説明会」は、住民の声、利用者の声をふさぐ非民主的なやり方である。
この住民説明会は、市公共交通会議の要請に基づき行われたもので、周知方法は回覧で行い、出席者は久留里、松丘、亀山地区の住民に限り、しかも発言は一人一回でバスの運行計画のみに限定されていた。
周知方法が回覧では他の文書の間にあれば見落としてしまい、出席者を三地区の住民に限定すれば、今まで鉄道で当地に来ていた観光客をはじめ様々な利用者の声を吸い上げる機会を逸してしまう。また、実家などが当地にある人などの声は反映できない。実際に実家が当地にあり、当日意見を述べようとして会場に来場した人は職員に入場を拒否され憤慨して帰ってしまった。また、発言内容をバス運行計画に制限していたが、それでも沢山の人から、「廃線を考え直してほしい」「久留里線ダイヤの空白を解消してほしい」などの声が多数上がっていた。あまりにも反発があったので、その後市は、自治会長が望めば再度当該地区で説明会を実施するとの意向を示したが、それなら、強引で発言などを制限しての「住民説明会」は何のために開催したのでしょうか。一刻も早くバス運行計画の了承を得たいとの市の意向が透けて見える。行政のやるべきことは、住民の声を丁寧に聴くことである。
第五に、その「住民説明会」の報告をした君津市地域公共交通会議のメンバーのあり方と協議の方法について多くの疑問がある。
前述の県交通検討会議の報告書を受けて開催された市公共交通会議は、そもそも鉄道事業法に基づくものではなく地域公共交通活性化法に基づき各市町村に設置されたもので、地域の実情や住民ニーズに応じた適切な公共サービスを提供し、地域の移動の利便性向上を図ることを目的に設置されていると解される。メンバーは、君津市副市長を会長とし、関東運輸局千葉運輸支局、千葉県交通計画課、千葉県君津土木事務所、千葉県君津警察署、千葉県バス協会、千葉県タクシー協会、東日本旅客鉄道株式会社千葉支社、日東交通株式会社、大新東株式会社、君津市の各課長、君津商工会議所、君津市観光協会、久留里線輸送力を促進する会、日本大学理工学部、そして君津市の君津地区、小糸地区、清和地区、小櫃地区、上総地区の5地区住民代表となっている。
このメンバーの中で久留里線の当該地区の久留里から亀山地区に関係する人は、上総地区の住民代表がこれに相当するが、その方は久留里地区にお住まいである。したがって、20人の委員の中でバス転換するとしている当該の地区の松丘、亀山地区からの代表は実質皆無である。これで果たして過疎地域として取り残される当該地区の実情を誰が代弁してくれるのでしょうか?行政が既存の法的組織を利用したいとの意識は判らないわけでもないが、県交通検討会議の中でも述べたが、メンバーを拡充して将来の地域を背負って立つ若者、女性、高齢者、当該地域で事業を営む商業・観光業の者、移住者など広く意見を聞く場にすべきである。分科会や部門別などの話し合いの場で丁寧に議論を進めるべきである。
また、この第二回の会議を傍聴したが、この会議に提出された資料のうち、3回実施した住民説明会の報告の部分は、会議で出されたバスの運行計画への見直しの意見は記載されていたが、市が発言を制限したものの「久留里線の廃止を見直してほしい、ダイヤを基に戻してほしい」などの意見が多数あったにも拘わらず、市から提出された資料にはこの部分が極端に省略されていた。さらに驚くことに、それさえも会議に事務局として出席した市課長は、口頭での報告の際にはその内容に一切触れずにそのような発言はなかったかの如く報告し、意図的に議論の俎上に載せまいとする姿勢がありありと出ていた。市政は市民のためにあるのです。行政職員は市民の発言を正確に会議に報告する責任がある。このように住民の口をふさいだ住民説明会の進め方やそこでの議論の内容、その報告の仕方について、説明会を見聞きしていない地域公共交通検討会議の委員たちに、真実を知らせないで虚偽とも思われる内容を報告する行為は行政職員として絶対にやってはいけない行為である。
以上、君津市長、君津市職員の鉄道事業等の趣旨の無理解、及び地域住民への説明責任を果たさず、市民の声をJRに届けない無責任な姿勢を改めるよう要望する。
5.[JR東日本はダイヤの空白を埋め地域資源を活かせ]
JR東日本について、経営努力不足、当該地域の地域資源と地域住民の声を生かさない姿勢について陳述する、
①JRは十数年前に木更津駅から上総亀山駅の列車ダイヤを久留里駅止まりにして、当該の久留里~上総亀山間のダイヤを一方的に大幅に削減している。
そのため現在は久留里駅から終点の上総亀山駅方面への下り列車は、8時15分発から13時50分発まで約5時間半、さらにその後16時40分発までの約3時間、合計一日約8時間半の空白がある。同様に上総亀山駅からの上り列車のダイヤも8時48分発から14時27分発まで、さらにその後は17時15分発までがそれぞれ空白で、利用したくても利用できない時間帯を自ら作っている。これは、当時の同区間は「住民の鉄道利用状況はマイカーの普及で低下している」との短絡的な発想に基づいた施策で、この地域の持つ観光資源を活かす方策や地域の衰退を防ぐ施策を行政や住民と検討しようとの姿勢が微塵もなく、お客が少ない、運行本数を減少させる、とのもっとも単純で短絡的な発想である。そして、「大量輸送のメリットを発揮できていない」と嘯いた内容の理由で廃止届の提出をしており言語道断である。
現在の沿線地域の人口減少は当時の状況よりもさらに進んでいるのは事実であるが、別な視点で考えると、鉄道の持つ魅力や重要性は当時より格段に上がっており、まずダイヤを元に戻すべきである。
筆者は、当時久留里線活性化協議会のメンバーであったが、なぜもっとこのダイヤの削減に異論をはさまなかったのか、悔やんでも悔やみきれない忸怩たる思いがある。
②当該区間には、豊富な地域資源がある。JR東日本はそれらを生かす工夫をしていない。
工夫次第で利用者は増える。
久留里駅周辺ではハイキングに最適の久留里城と資料館はもとより、新井白石や土屋氏・黒田家の史跡、平成の銘水百選に選ばれた街中にある湧き水の井戸、それらを活用した日本酒の酒蔵群、旧城下町の風情が残る街並み、客足が途絶えない駅前の町中華屋、旧旅館を改装したコーヒーと洋菓子が名物の喫茶、紅茶とケーキが売り物のティルームなど新旧の見どころ味わいどころが多数存在している。さらに進むと平山駅周辺は、駅脇の昔ながらの焼きそば屋、古民家を改造したレストラン、新鮮な野菜や土産物の直売所、その先の松丘駅周辺では、狭い里道の先を歩くとイタリヤで修業したシェフがいるピザ屋が繁盛し、古くからの釜めし屋もある。終点の上総亀山駅周辺には、駅裏の狭い隧道をくぐると郷愁を誘う小中学校の廃校跡の校舎と集落がある。さらに足を延ばすと新緑や紅葉と釣り客で賑わうダム湖の亀山湖、周辺にはチョコレート色の温泉が名物のホテル、紅葉・花・新緑など四季折々変化が楽しめる自然が存在している。その先には二つ目のダム湖である笹川湖、三石山やインスタバ映えの濃溝・亀岩の滝、方向を変えると乳白色の温浴施設がある七里川の温泉旅館、さらに、日本食を中心としたソバ屋、など特徴を持った食の文化や魅力的な地域資源が豊富に存在する。また、ゴルフ場やキャンプ場、グランピング施設なども多く存在し、昔懐かしい日本の原点と言える風景や住民の営み、さらにそこに新しい発想を取り入れた施設が融合し点在している魅力ある地域である。
しかしながら、現在行っているJR東日本の利用者増加方策は、紅葉の時期のみの臨時列車の運行やごくわずかな回数の駅からハイキング等のみで、まさに努力不足である。木更津統括センターが企画し筆者も乗車したお酒や料理を楽しめる「角打ち列車」自転車を持ち込みできる「菜久留トレイン(サイクルトレイン)」車内で熱戦を繰り広げる「プロレス列車」などはすべて久留里駅止まりで、当該の久留里駅から上総亀山駅までの乗客増加には全く寄与していない。さらに、列車のスペースを活用したトウモロコシを運ぶ物流ビジネスにも取り組んだが同様に当該区間の収益向上には寄与していない。全く持って木更津統括センターの的外れな企画であったと言わざるを得ない。
毎年3月には君津市主催の「新酒まつり」が久留里地区で開催される。筆者も毎年久留里線の東横田駅で乗車、久留里駅で降車し参加するが、今年も例年通り参加したが列車はいつも山手線のラッシュアワーの電車に相当し、ステップに乗るのがやっとであった。久留里駅では、三両編成の列車からは4~6百人の乗客が降車したが、残念ながら久留里駅止まりで上総亀山駅までは運行せず廃線区間の収益にはこれも寄与していない。
したがって、列車ダイヤを削減前のダイヤに復活させ、四季を通じての利用者の増加方策を地域の住民や商業・観光業等の事業者を巻き込んで検討すべきである。せめて、土日祝日だけでも魅力的な地域資源へのアプローチが出来るよう、久留里・上総亀山間の一両編成での往復の試験運行やイベントなどを行政の支援を受けながら日常的に試みるべきである。筆者は2023年の上総亀山駅で紅葉の時期にJR東日本が仕掛けた臨時列車から、一両列車からは約50人が、二両編成の列車からは約100人のお客様が降車するのを目撃している。また、駅からの観光客を誘導するバスでの回遊運行も含めて一定の期間そのような努力を行い利用者の動向をみて、その結果をもとに判断するのが地域の公共交通事業者たるJR東日本の取るべき態度だ。
ちなみに今般、JR東日本千葉支社がローカル線沿線の観光事業を手がける「沿線まるごと社」と手を組んで昨年11月に一泊二日で、12月に日帰りのJR久留里線沿線の魅力を伝えるモニターツアーを開催した。この発表に接し、ようやくこの地域の魅力に気が付いのか、との隔世の感があるが、誠に時期を得た取り組みと言える。これはJRが記者会見で表明した、沿線の魅力を発掘し観光事業や地域開発に今後も努力する、との考えを具体化した実行策の一環と思い大いに歓迎するものであるが、地域活性化に取り組むJR東日本の姿勢を見せるための後追いの施策とわかっていても、それでも、なおかつ久留里線利用客増加と収益の改善を大いに期待し、その結果を待ってこれまでのJRの姿勢転換を願わざるを得ない。
このように取り組み方によっては、当該区間にはまだまだ活用すべき地域資源は存在していて工夫次第で利用者は増えるのであり、JR東日本、地域、自治体、各種事業者が連携して計画すれば、必ずや当該区間は再生できるのである。
③JR東日本の経営状況は大幅な増益で、巨額の内部留保を抱え、久留里線の営業係数も改善している。
JR東日本の2025年3月期のグループ全体の決算は増収増益で、営業収益は4期連続の増収で前年比5.8%増の2兆8,875億円、営業利益3,767億円、純利益2,242億円となっている。先般発表された2026年3月期の経営状況も、営業収益は前期比6.8%増の3兆846億円、営業利益は前期比9.9%増の4,142億円、経常利益は前期比9.4%増3,516億円、当期純利益は10.5%増の2,478億円となっており、内部留保も2020年3月末で約2.8兆円の巨額にまで積みあがっていたが、コロナ禍の赤字転換を経て若干取り崩しているが赤字ローカル線の赤字を吸収できないほどではなく2兆5,951億円と依然として巨額になっている。
久留里線の当該地域(久留里~上総亀山間)の営業係数(100円稼ぐのにいくらかかるか)は2019年は15,546、2020年は17,074でしたが、2025年の住民説明会では2021年は一日の乗車人員は55人で100円稼ぐのに1万9,000円かかると説明していたが、直近の3月9日の廃線届けの際には、2024年の一日の乗車人員は76人で100円稼ぐのに6,694円かかっている、と大幅に改善している内容を発表している。
したがって、ローカル線の赤字をむやみに見過ごすことは助長しないが、上記のように観光や地域資源を活かせば年間2億4千万円程度の当該区間の赤字は克服できる。
④JR東日本の2026年3月期決算発表の「自治体との合意を経て」に異議あり。
JR東日本の2026年3月期の決算発表は先般発表されたが、そのⅠ.経営成績(1)経営成績に関する分析①当期の概況、の中で、「大量・定時輸送という鉄道の特性を発揮できなくなった津軽線(蟹田・三厩間)及び久留里線(久留里・上総亀山間)については、自治体との合意を経て、2027年4月に鉄道事業を廃止することを発表し、新たな交通モードへの転換の準備を進めました。」と記載されている。これにはとんでもなく早とちりであり異議ありだと言わざるを得ない。豪雨災害で2022年8月より被災し現在まで運休している津軽線はともかく、久留里線(久留里・上総亀山間)は、今まで述べてきた通りJR東日本の地域資源を有効活用しないで既存の沿線住民のみの輸送に捉われている経営努力不足はもちろん、自治体、つまり事前に行われた県交通検討会議の問題点や最終報告書の扱い、そして市公共交通会議のあり方等はまだ結論を得られておらず、問題だらけでとても自治体との合意を得たと言える状態ではなく、今まで指摘した通りとても承服できるものではない。
6.[地域住民、利用客の意志は大多数が存続である]
前述したとおり県交通検討会議の亀山地区選出のメンバーが、事前に亀山地区で自ら行ったアンケート調査では、回収率84.9&、久留里線存続すべき49.3%、代替え手段やむなし38.6%、の結果で明確に廃線反対、久留里線存続の意志が示されている。また、県交通検討会議が行った三か所の住民説明会では、220名が出席し148項目の意見が提出されたが大半が存続希望、ダイヤの復元、地域資源の活用方策であった。さらに「久留里線と地域を守る会」結成直後に進めた久留里線存続の署名運動では、短期間に5,691筆を集めJR東日本千葉支社に提出している。
その後結成された「久留里線の存続を求める亀山の会」と共同で進めた二度目の署名運動では、第一次分として9,148筆を集めJR東日本千葉支社などに提出したが、まだまだ続々と賛同者が集まり、現在では優に一万筆を超えている状況にある。亀山、松丘地区で行った地域住民宅を一軒一軒訪ねて訪問したところでは、署名を断った訪問先は一件のみでその他の在宅の訪問先はすべて署名してくれた。
また、上総亀山駅でこの5月の連休前に実施した列車乗降客への署名運動では、小湊鉄道の上総中野駅を朝8時に出発し徒歩で約14km3時間かけて歩き、12時に久留里線上総亀山駅までたどり着いた静岡県からの親子は、14時27分発の上り列車を待ち下れていた。鎌倉から来て上総亀山駅で降車した6名の高齢女性のグループは、我々を激励し楽しそうに送迎バスに乗り込み今夜の宿泊先の七里川温泉へ向かった。埼玉県を朝5時に起きてJRを乗り継いできた小学6年の男子2人組のけなげなその冒険心に驚いたが、2人のその手には青春18切符がしっかりと握りしめられていた。2人組はとんぼ返りで上り列車に乗ったが我々はちぎれんばかりに手を振った。さらに、近隣木更津市からの中年3人の男女はランニング姿に着替え、上総亀山駅から木更津駅までランニングで各駅での写真を撮りながら約40kmを走っていくとのことで、完走を祈ってカメラのシャッターを押してあげた。このように連休前の一週間署名運動を展開したが、そのほかにも近隣の東京都はもとより遠くは沖縄県、愛知県からも訪れてくれた人々がいた。一列車の乗降客は優に10人を超えておりJRが発表した1日利用客55人(のちに76人)を大幅に上まっていることを確認できた。もちろん、大部分の乗降客は久留里線存続の署名に協力を惜しまなかった。
7.[バス転嫁の継続、不便さに疑問がある]
君津市とJR東日本が締結した基本合意書に「バス代替費用18年間20億円をJR東日本が拠出」とあるようだが、今日の物価高騰の折、バス運行費用や今後残すであろう鉄路等の維持管理費用などを考慮すると収支の折り合いが不明である。また、18年後はどうするのかも明確になっていない。
さらに、代替えバスは、上り便利用者は一旦バスを降りて久留里駅で鉄道へ乗り換えることになり、下り便はその逆で久留里駅で鉄道を降りバスに乗り換える不便さが付きまとい、しかも現行のバス運行ダイヤでは乗換に数十分の空き時間が発生する便がある。このような不便さが継続すれば利用者がさらに減少することが考えられる。
全国のバス転換の例を見ると数年後には沿線の人口はさらに減り、利用者も減少しバスでさえも廃止している実例もある。
したがって今後の運航継続や協定内容の遵守に大いに不安が残る。
8.[廃線は地域の過疎化を促進する]
廃線はその対象地域である上総地域をはじめ、久留里線沿線の人口流出・過疎化に拍車をかけ地域経済や文化の地盤沈下をもたらす結果につながることが必至である。
したがって、沿線地域の地元の方々の現況だけの利用状況を見た存廃論議はやめるべきである。また、沿線の環境整備などへ地域の人々の力を借りるボランテァへの協力もJRは遠慮なく申し出るべきだ。地域住民の皆さんは、前述したように先祖のお墓を移転したり、自分の土地を寄付するため抵当に入っていた土地の借金を返済してまで、千葉県営鉄道すなわち久留里線の発足に協力してきた。それらに報いるためにも、JRは引き続き久留里線を「おらが鉄道」として残す努力を惜しむことの無いよう願ってやまない。
また、「久留里線と地域を守る会」など久留里線の存続を願って行っている人々の活動を敵対組織がごとく扱うこともやめて、真摯に地域住民の声に向き合うことを願っている。
前述のとおりJR東日本の内部留保はとてつもなく巨額になっている。JRの利益を地域全体の交通ネットワークの維持に活用すべきとの意見や全国のローカル線は赤字に苦しんでおり、採算性だけでなく「存在価値」も考慮して存続の是非を論議する必要があるとの声も日増しに大きくなっている。ローカル線は世界的にみても赤字がほとんどでそれらを政府や地方公共団体の支援で支えているのが実態である。工夫すれば収益の改善もできる。赤字路線の一部を切り取っての廃止論議をやめるべきである。
以上様々な点について廃止の不条理さを陳述する。
