JR東日本千葉支社が久留里線の久留里-上総亀山間(千葉県君津市)を廃線にする方針を先月表明したのを受け、沿線住民らでつくる「久留里線と地域を守る会」が27日、「強く抗議する」などとする申し入れ書を同市の石井宏子市長宛てに提出した。
JR側は廃線で代替のバス運行などを検討する方針。石井市長は24日の定例会見で「現在の久留里線以上に利便性の高い公共交通網」を目指し、JR側と協議を進める意向を述べた。
守る会の申し入れ書は、「各駅と周辺地域、日常生活に必要な地点を結ぶ交通体系」の新たな策定を求めつつ、前提として「鉄道を残して」と強調した。市には「存続のため全力で努力して」と注文した。
守る会の三浦久吉代表は、石井市長の発言は「廃線」を前提にしたものだと指摘。申し入れの席上、「JRの方針をそのまま受け入れるような市長発言は残念だ」と述べた。
2024年12月27日
君津市地域公共交通会議 会長 荒井淳一 様
久留里線と地域を守る会 代表 三浦 久吉
申入れ書
JR久留里線(久留里・上総亀山間)沿線地域交通検討会議の「報告書」並びにJR東日本千葉支社のJR久留里線久留里・上総亀山駅間の廃線方針に強く抗議する
去る10月21日に開催された第5回JR久留里線(久留里・上総亀山間)沿線地域交通検討会議は、それまでの検討結果を「報告書」として発表した。
これを受けて、JR東日本千葉支社は11月27日記者会見において、「JR久留里線の久留里・上総亀山駅間で列車の運行を取りやめ、バスなどを中心とした新たな交通体系に移行する方針」を表明した。今後、君津市とバスのルートなど詳細を協議し、出来るだけ早期に実現したいとしている。さらに、土沢壇支社長は「利用者や地域の役に立っているかを考えた場合に、新たな交通体系へのモードチェンジを図ることが最適と判断した」と説明した。また、驚くべきことにこの方針を11月25日に君津市長に伝えたとのことであった。
私たちは、これまで様々な機会に「JR久留里線(久留里・上総亀山間)沿線地域交通検討会議」の調査や運営方針を分析・検討し、各方面に改善の申入れや要求を行ってまいりました。また、地域住民の皆様の要望を届けるための署名運動も行い、それらの願いを緊急の申し入れとして行ってきました。
そのような中で、今回の報告書の内容、そしてJR東日本千葉支社のJR久留里線の久留里・上総亀山駅間で列車の運行を取りやめる方針は、私たちの活動だけでなく地域住民の願い、さらには今後の君津市のまちづくりをないがしろにする到底受け入れられる内容ではありません。
私たちは、上記のように都度要望や申入れ等を行ってきましたが、今回の「報告書」の内容、及び「列車の運行を取りやめる方針」に対して、下記の通り具体的にその内容と理由を指摘し改めて厳重に抗議するものです。
記
1.一方的で廃線ありきのJR久留里線(久留里・上総亀山間)沿線地域交通検討会議(以下交通検討会議と呼ぶ)の報告書について
(1)偏ったメンバーの選定と閉鎖的な運営方針について
交通検討会議のメンバーは、千葉県が事務局となり県担当次長(のちに部長)、君津市部長、JR東日本千葉支社、久留里、松丘、亀山の地域住民三名及び学識経験者として大学教授が委員で、オブザーバとして木更津市、袖ケ浦市、国土交通省2名となっていた。
私たちは幅広い議論と民主的な運営を期待して、ここに商工・観光事業者、地域からの公募 委員、学識経験者の複数採用、木更津市、袖ケ浦市を正規の委員になどを要求していたが実現できなかった。特に、地域からのメンバーの充実は重要で、これからこの地域を担うに必要な若い人材、女性の登用、利用者の代表などの補充が見送られたのは、これからのまちづくりを考えると必須であったにも拘わらず行政特に君津市が要望しなかったのはとても残念であった。
このため、交通検討会議での議論は、単に県事務局の提案内容を追認する形で進む結果となってしまった。ただ一つ、住民代表の提案で実施された3回の住民説明会では、220名が出席し、ほとんどの人が「鉄道を残してほしい」、「午前中5時間半、その後さらに3時間の空白ダイヤを見直してほしい」と述べていたにも拘らず、交通検討会議は、これを千葉県により「住民が現状でどんな交通を利用しているか」を調査すると、交通利用実態調査を行うアンケートに問題をすり替えて実施してしまった。
その結果は、上記のように合計8時間半空白ダイヤがある中での現状調査には、住民の多くは設問の内容にもあきれて、鉄道を維持してほしいと思う住民はこれに不参加となり、アンケートの回答率はようやく住民の約半数と、行政が実施する調査としては極めてみじめな低いものとなった。にも拘わらず、鉄道利用者は少数である、との結論を出したのである。これは、鉄道利用者は少ない、住民の役に立てていない、ゆえに鉄道廃止、そしてバス路線への転換に導くための導線に使われてしまったと言わざるを得ない。
冒頭に述べたように多様なメンバーがいたなら、久留里線の現状分析、乗客へのポイント還元、沿線の観光資源を活かした施策、久留里線名物の開発などの利用者増加の方策、収益の増加策や経費の節減策、沿線住民の協力体制の確保、行政の協力支援体制、まちづくりのあり方などを含めた様々な改善策が浮上したと思われる。メンバーを補充しないで議論するかたくなな姿勢は大いに非難されるべきである。
さらに、議論の透明性を確保するために、会議の公開、または、議事録の公開を要望したが、 聞き入れてもらえず密室の中の議論となり、しかも、会議終了後の記者会見では座長が会議で議論されていないと思われる内容を一方的に記者会見で発表していた。会議は堂々と公開し、そのうえで見聞きした人々の反応を議論の俎上に載せ検討するのが開かれた行政の原則で、議事録も非公開で進め、最後に形ばかりに要旨を一方的な座長見解で発表する非民主的で閉鎖的な姿勢は最も非難されるやり方であった。
(2)報告書の内容の不備を具体的に指摘する
A.「はじめに」「1.検討会議について」「(1)検討会議の設置と目的について」を非難する
報告書の「はじめに」では、交通に関する法における理念と住民の日常生活や経済活動におけるその重要性を説きながら、近年の変化について柔軟な発想による地域公共交通の構築を求め、交通検討会議は、現在の沿線地域における現状や課題を共有し、今後の地域交通について検討することを目的に設置され、各種の検討を行って報告書を取りまとめた、と記載している。
しかしながら、第一に検討が必要であったのは、久留里線における赤字を解消するための収益改善策や経費の節減策で、そのための住民参加と行政の役割などを議論せずに、重要な視点と本質の検討を避けていることをまず指摘したい。また、久留里線の路線の一部を切り取りして、赤字で100円稼ぐのに営業経費1万3580円がかかっている(令和3年度より令和4年度は改善している)とマスコミに発表して議論を先導し、検討を進めるポイントについて全くの説明がないまま議論をずらして進めていた。しかも、JR東日本自体の運輸部門は大幅に黒字であるのにも関わらず、路線の一部を切り取り誇張して取り上げ議論を進める姿勢は大いに非難されるべきである。
B.「上総地域の交通に関する現状」について
(1)「人口動態について」、対応策を論じていない
人口動態の経緯と今後の見込みについて、経緯はほぼ報告書通りであるが、今後については、見通しを分析し将来に備える必要があり、どのような対策・対応策が必要かを論じていない。
(2)「地理的特性」(3)「上総地域の観光振興の取り組み及び観光入込客数」について
豊富な観光資源があるのは読み取れるが、活用が十分とはいいがたい。観光客を列車利用者と繋げる工夫が必要で、住民参画の組織を作る発想と行政の実効力が試されている。特に今まで仕掛けたイベントや臨時列車は久留里での開催、久留里駅止まりが大部分で、久留里・上総亀山間の乗客を増やす仕掛けとなっていない。このことは様々な指摘があるように、松丘や上総亀山でのイベント開催、列車の運行を延長すること、等の仕掛けを実施すべきであった。
そうした中でも、観光客は堅調に推移し、ホテル宿泊客や亀山地区への観光客は、むしろコロナ過より増加している実態がある。したがって、久留里線を絡めたイベントや施策を日常的、通年的に開催することをさらに検討・実施して、観光客を久留里線(久留里・上総亀山間)の通年利用者として増加させる必要性がある。
(4)「上総地域の公共交通等について」鉄道の8時間半の理不尽な空白
久留里線の利用状況、推移を図で示し利用者が減少していると説明しているが、まず再三言及しているように久留里線の上総亀山・久留里間のダイヤの実態を理解する必要がある。
・上総亀山駅~久留里駅~木更津駅方面への上り ・久留里駅~上総亀山駅行下り
上総亀山駅 8:48発~久留里駅~木更津駅 ~久留里駅 8:15発~上総亀山駅
約5時間半空白 約5時間半空白
14:27発~ 13:53発~
約3時間空白 約3時間空白
17:15発~ 16:40発~
となっており、非常に不便で乗りたくても乗れない実態となっているのである。
そのうえで、現状の上総地域の高齢化や独居の増加などを考慮するとともに、日常生活の利便性を向上させるためには、最寄りの駅まで、また、その先の買い物や病院などまで路線バスやコミニティバス等をきめ細やかに充実する必要もある。
(5)「各地区の住民説明会における主な意見」に全く耳を傾けていない
ここでは、三地区で220名が参加し様々な角度から意見を述べていた。その大部分は、久留里線(鉄道)を残してほしい、ダイヤを改正し合計8時間半の空白時間を解消してほしい、との切実な声であった。にも拘わらず、それらをたった4行にまとめ、「買い物や通院のための移動は、現状は自家用車に転換しており、現在の公共交通の利用状況からは見えない潜在的なニーズの把握が必要である」との意見があったと、誰も発言していない方向に無理やりまとめてしまっている。
参考資料として付けられている住民説明会意見一覧表を見てみると
①久留里線の運行に関する意見25件
②久留里線の利用促進に関する意見22件
③地域振興に関する意見24件
④久留里線に対する要望や質問49件
⑤その他28件
合計148件が記載されている。しかしながら、この中に「買い物や通院のための移動は、現状は自家用車に転換しており、現在の公共交通の利用状況からは見えない潜在的なニーズの把握が必要である」との記載はない。後から事務局が勝手にとってつけた虚偽と偽造ではないかと疑われる悪意に怒りを感じる内容となっている。さらに、一番の当事者である地域住民の皆様の合計148件の貴重な意見・質問を無視して、傾聴に値する声にも答えず分析もしていないで素通りとなっており、住民説明会を不満の一時的はけ口に使ったとしか言いようがない。この点は住民説明会を要求した住民代表の対応にも、なぜそのことを追求しなかったのか大いに疑問が生じる。
(6)「移動の実態(アンケートの分析)」について
ここで冒頭に述べている「住民説明会において出た意見を踏まえて」とあるが、そもそも前
述のごとく住民説明会では誰もこのような意見を言っていないのは明らかであり、事務局が意
図する結論に導こうとすることを画策したことは、明らかであった。
結果も、久留里・上総亀山の現状が合計8時間半の空白時間があり使いたくても使えない状況であるのにも拘わらず、移動実態を問うアンケートの設問にあきれて、世帯回答率49.5%とようやく半数の回答結果と行政が実施した調査では最低レベルの回答率となっていた。
このように、移動手段を問う設問にも現状の乗りたくても乗れないダイヤになっていては、鉄道利用者が少ない(3%~5%)との結果が出るのは当たり前であり、このことを前提にした「報告書」は根拠がなく信頼性が全くないのである。
また、この調査では、特に上総地区の住民に限って実態と移動需要を調査しているが、久留里線(久留里~上総亀山間)の乗客は住民だけではなく、いわゆる観光客が多くを占めている実態を意図的に避けている。現に本年も11月から12月にかけてオータムフェスタの臨時列車を運行しているが、列車は紅葉などを見に来る乗客で賑わっていて、11月30日及び12月1日に行った調査では、一両編成時では50人以上が、二両編成の列車には120人程度が上総亀山駅で降車した。これは、JRが主張している一日の乗車人員50人、あるいは60人との発表を一列車で超えていることになり、いかに実態からかけ離れたものかを事実が証明している。したかって、移動実態には地域住民以外の要素もいれて、それをさらに増加させる施策を検討し講じることの必然性は当然である。
この移動実態調査で唯一賛同できることは、駅から一定距離を有する住民や高齢者など自動車の運転ができない人への配慮や、駅以外の生活に必要な買い物、医療機関などの移動に配慮する必要性には検討の余地があることは明らかである。
(7)「各地区の自治会長報告会における主な意見」について
亀山、松丘、久留里の三地区自治会長への報告会で出た意見は、その地区のおかれている地理的条件や観光資源によって意見が分かれている。亀山地区は、豊富な観光資源などを糧に鉄道を残すよう主張するのは当然である。一方、久留里地区においては、木更津~久留里間は残るのでは、との思いで安心していて、将来車を運転できなくなった時の交通手段を心配する声となっている。
したがって、真の地域の声を聴くためには、地域の今後を担うであろう若い人材や女性など
多様な人々から丁寧に意見を徴収すべきであった。
(8)「検討会における各地区の住民代表の主な意見」について
この項では、交通検討会議に臨んだ住民代表三名の会議での発言を要約している。
会議冒頭で、我々は住民代表ではない、との発言もあったようだがまさにその通りで、発言内 容は事務局の提案を追認・容認する意見が大部分で、とても地域住民としての真の声や、再三言っている8時間半の空白ダイヤの存在を無視して改善しようとしないなど、驚くばかりの発言が記載されている。これでは会議や議事録を公開したら非難轟々となるのは間違いないと思われる。
このような状況は、複数回行われた正式な交通検討会議の会議開催前に住民代表3名だけを呼び、その都度事前に会議資料等を説明し会議での発言を封じようとしていた形跡があり、そのことが影響していたと思われる。その中で唯一亀山地区の代表が独自でのアンケートをとり、その結果(回収率84.9%、列車存続希望49.3%、代替え手段に置き換え38.6%など)に基づき列車の存続を訴えていたのは、本当の住民代表としてのあるべき姿であった。
ここでこの人たちが議論すべきだった事は、住民の真の思いや地域の活性化、列車を生かした まちづくりの必要性であったのではないか、また、少しでも収益の増や経費の節減、そのための住民参画の組織を立ち上げる話ではなかったのかと思うと、まさにその点が不十分であったと惜しまれてならない。
3.「上総地区に適した交通モードについて」
ここでは、「上総地区の移動実態調査」をもとに論じられているが、そもそも先に述べたよう
にアンケートは意図的に実施したと思われ、繰り返すが合計8時間半の空白ダイヤの存在を無視してのものであり、豊富な観光資源と事実(臨時列車一両編成時では50人以上が、二両編成の列車には120人程度が上総亀山駅で降車)を無視した検討となっている。また、路線の一部を切り取って収益を論じるのは恣意的で無理がある。
特にここでは、鉄道を論じている部分を取り上げるが、前提となっている久留里線久留里・上総亀山間の令和5年度の一日平均通過人員は64人で、最大の利用客数は10人~25人程度である、としているが、そもそもこのことは前出のとおり事実として崩れている。また、「鉄道事業者と地域の協働による地域モビリティの刷新に関する検討会」の考えを提示し議論し、平常時50人を下回った場合には、新たな移動手段を検討する必要がある、と結論づけている。また、年間2億4000万円程度の赤字を国、県、市などが補助することは納税者の理解を得られない、としている。
しかし、検討した経緯や根拠などは示されていない。事実として、君津市は2023年度に、赤字路線バスの維持に年間約6,882万円程度、デマンドタクシー「きみびょん号」の運行に年間3,600万円程度、さらにコミニティバスの運行には年間1億1千万円程度、合計で約2億1千5百万円程度を支出しています。また、上総四市におけるバス路線の運行補助とコミニティバスの運行など地域の公共交通にかけている経費は、年間2億4000万円を優に上回る金額を支出しているが、これらは単なる赤字補てんではなく、各地域の住民生活を維持していくための必要経緯費として支出し議会議決も受けている事実がある。納税者の理解が得られないとは到底思えない。
また、列車本数減による利用者の減についての指摘については、「利用者の減に、列車本数を減少させた」とのJRの意見を丸呑みしただけで、住民の意向や事実を無視したうえで、様々な施策を講じて利用者の増加をはかる、との検討は全くされていない。また、年数回の観光やイベント列車の運行は、固定費がかかり、持続可能性を否定しているが、先に述べたようにそもそもイベント列車の運行は久留里止まりで上総亀山までは大部分が運行していない。市や観光協会、久留里線活性化協議会等で開催するイベントも久留里での開催で、上総亀山での開催はごくまれで列車乗客増に寄与していないのである。
さらに一番大事なことは、ここまで当該の地元であり最も地域や地元住民の声を聴く立場にある君津市の委員、千葉県の行政の声が聞こえていない点である。これは、君津市議会での市長の答弁の対応にも如実に表れていて大いに問題とすべき点である。
バスでの運行代替については、関係者間の協議が望まれ運行ルート等について、利用者の利便性と経済性を考慮しての検討が必要、としているが、この点については過去に路線バスが運行していたことも含めて、住民の生活を守る観点から、鉄道運行を廃止しての代替ではなく、補完する意味でのきめ細かな運行路線の確保が必要であることは言うまでもない。
要は、これまでの国鉄からJRへ民営化した時の「国営では非効率」「民間への移行で効率化、収益を上げる」の議論から、「人口減少の時代に地方をどう守るのか」「地方活性化に必要経費をかける」「住民参画による地方の公共交通を維持する」との視点に立つべきである。
4.「結び(まとめ)」について
(1)「検討会議の議論結果」について
これまでの交通検討会議での議論や地域住民へのアンケート結果などから、上総地域では「平
日15人程度、休日20人程度のまとまった移動需要と、それ以外の散発的な移動需要があり」とあり、そして「当該地域で提供されている交通サービス(鉄道・高速バス・デマンド交通など)は、これらの移動需要に適していない。自動車中心の交通体系への移行に取り組むべき」として、結論を「これまでと同等又はそれ以上の利便性と持続可能性を有する地域公共交通に取り組むべき」としている。
しかしながらこれは、これまで述べてきたように、アンケートの恣意的な取り方、観光需要の実績を無視した結果であり、到底納得しがたい導き方である。
(2)「今後について」
今後、本報告書を踏まえて、JRが望ましい交通体系を提示する、そのうえで最終的に具体 化する際には、君津市地域公共交通会議で決定する。その際利便性の高まり、数多くの観光資源を活用した地域振興への配慮、また君津市が千葉県の協力を得ながら検討する、JRと君津市との協議の必要性、観光振興などへの積極的な関与、千葉県の積極的な関与などをうたっている。
しかし、この結びについては、今まで述べてきたように当初からJRが描いた俎上にのり、 追認しただけの報告書になっていると、断じざるを得ません。
極めて一面的かつ地元住民の意見・要望をほとんど考慮していない内容と言わざるを得ません。
また、利用者が少ないことを理由にして交通体系を考える、としていますが、公共インフラ とりわけローカル鉄道の収支は大部分赤字が前提です。世界的にみても、営業収支を理由に鉄道の存廃を判断する国はほとんどありません。また、鉄道は、その地域の文化や歴史とともにあり、地域の存続と発展にとってかけがいのないものです。久留里線の敷設には、地元の資産を投じて行なわれました。久留里から上総亀山まで延伸して開業するには、お寺の墓地を移動してまで通すというお寺や地域住民の協力で実現しました。このように久留里線は郷土の財産です。
以上述べてきたように、私たちはこの「報告書」の目的、策定経過、内容ともに、到底納得できるものでないことを厳重に抗議し下記の事項について申し入れます
申入れ事項
1.JR東日本千葉支社は、JR久留里線(久留里・上総亀山間)の鉄道を残して、久留里・平山・松丘・上総亀山の各駅と周辺地域、並びに日常生活に必要な個所を結ぶ交通体系を策定していただきたい。鉄道には、線路を占有できる特性があります。その利点を生かし、首都圏に近接するこの地域での、鉄道がなくると地域が益々衰退を加速させるという現象を食い止めてください。
2.前述のとおり、交通検討会議の報告書にはその根拠に疑義があります。例えば1日最大15人、休日20人を算出した根拠などで、私たちが実施した調査では休日に上総亀山駅に下車した人数は優にそれを超えていた実績があります。その他の疑問点にもお答えください。
3.今次総選挙の争点でもあり、石破新首相も掲げる「地方創生」とローカル線の廃線は真逆の政策です。ローカル線の廃線は「地方消滅」に拍車をかけることになります。地域のまちづくりを真剣に考慮し、国土交通省、千葉県、君津市にはその面での政策転嫁をするよう熱望するものです。
4.JR東日本千葉支社は、地元住民の切実な要望・意見であるダイヤを削減する前に戻して、8時間半の空白ダイヤを解消してほしいとの願いをもう一度真摯に検討してほしい。「君津市地域公共交通検討会議」でも、君津市観光協会は「コロナがあけて、インバウンドの利用者も増えている。休日に一本でも増便してほしい」と切実に訴えています。
5. 君津市には、当事者意識を持って主体的に、市長を先頭にして地域住民の願いを実現すべく存続のため全力で努力していただきたい。また、君津市地域公共交通会議も同様に鉄道を残して、久留里・平山・松丘・上総亀山の各駅と周辺地域、並びに日常生活に必要な個所を結ぶ交通体系を策定していただきたい。さらに、鉄道の利用者増加の施策を検討するうえで、多様な人材を登用させ、各種事業者や住民参画を実現し、地域公共交通会議の活性化に取り組んでほしい。
6.千葉県には、JR東日本千葉支社の考え方を追従するような姿勢を改め、地域の願いを実現すべく君津市の支援を積極的にお願いしたい。また、鉄道が持つ「多面的な価値」を考えていただきたい。単に利用者が少ない事だけを分析・検討ではなく、能登半島地震や熊本地震等で実証されているとおり、我が国は災害列島であり、房総沖地震は今年だけでも50回を超えています。久留里線は「亀山ダム」という大切なインフラを背負っています。万一、ダムが棄損された場合、道路によるトラック輸送だけでは復旧が遅れることは間違えありません。道路と鉄道の複数の交通手段こそ、生活とインフラを守るうえで最大の利点です。
今回のJR久留里線先端部9.6kmを廃線する案は重要インフラである久留里線を自ら手放すことになり、災害リスク面から後退する危険な判断です。
7.国土交通省には、そもそもローカル線の鉄道インフラは赤字にならざるを得ない状況を理解し、効率性や合理化を追求するのは当然ですが、民間企業であるから赤字補てんはしない、との考えを改め、道路と同様に日常生活には必然であるとの考えで施策を推進されたい。
以上