利用客数が低迷し赤字となっているJR久留里線久留里-上総亀山駅間(君津市)の廃線をめぐり、JRはバス運行など望ましい交通体系への「モードチェンジ」と説明するものの、存続を訴えてきた住民からは憤りの声が上がる。
◆「利用者は増えないと決め付けるのは許せない」
廃線が決まった久留里―上総亀山間を走行する久留里線(七森祐也撮影)
廃線に反対してきた「久留里線と地域を守る会」の事務局都築明さん(75)=君津市中島=は「(JRは)今まで言ってきたことと違う」と憤慨する。JRはこれまで廃線とも存続とも前提を置かずに議論する姿勢だったが、「いきなり『廃線』となった」と問題視。「利用しづらい運行本数のまま、利用者は増えないと決め付けるのは許せない」
代替の交通手段に挙がるバスも課題はあるとされる。千葉支社と市、県、住民代表らでつくる「沿線地域交通検討会議」の検討結果によると、運転士不足や、事業として成り立つ程度の乗客確保が難しいと指摘。都築さんは「廃線を打ち出すよりもその検証が先ではないか」と疑問を呈する。
JRの方針を受け、代替交通手段は今後、君津市地域公共交通会議で議論して具体化する。都築さんは「舞台は市に移る。住民の声をしっかり聞いてから判断してほしい。要請行動をしていく」と述べた。
上総亀山駅に停車する久留里線(七森祐也撮影)
君津市は27日、「JRからの意向が示されたばかりでもあり、発表内容を十分に精査しながら、対応について検討していく」とのコメントを出した。企画調整課によると、今後の具体的なスケジュールは決まっていないという。
千葉県の熊谷俊人知事もコメントを発表し「地域に望ましい交通体系について、JR社内で慎重に検討された結果と受け止める。君津市地域公共交通会議で検討されることになるが、地域住民にとってより利便性が高く持続可能な交通体系が構築されるよう、今後も県として協力していきたい」としている。(山本哲正、平野梓、小川直人)