存廃の岐路に立つJR芸備線です。 芸備線の利用者を増やそうと、沿線の高校生が集まり、アイデアを出し合う「高校生サミット」が、25日、三次市で開かれました。 【県立三次高校「芸備線を盛り上げる会」國岡大暉さん】 「本当に私たちが芸備線を存続させたい、守りたいなら自分事として考えて、できることからやっていかないといけない」 25日、三次市で開かれた「JR芸備線を考える高校生サミット」。 主催したのは三次高校の有志生徒でつくる「芸備線を盛り上げる会」です。 会場には沿線の高校に通う広島・岡山両県の生徒のほか、日常生活で芸備線を利用する生徒や沿線の地域住民など、およそ200人が詰めかけました。 芸備線を巡っては、利用が特に低迷している備中神代から備後庄原駅の間の存廃を話し合うため、国はことし1月に全国で初めて再構築協議会を設置。3年後を目途に路線のあり方を決定する方針で、現在、協議を進めています。 存続か、廃止かー。岐路に立つ芸備線ですが利用目的で最も多いのは通学です。 県内の沿線にある4つの市で作る対策協議会が、2022年に行った調査では下深川から三次駅の間ではおよそ4割が、また、三次から備後庄原駅の間ではおよそ8割が「通学」と答えています。 「芸備線がなくなったら困る」。 そう感じた高校生が立ち上がりました。 【三次高校2年・伊藤さん】 「芸備線を使って残すことが大切」 サミットでは芸備線を利用する高校生15人が、どうすればもっと利用者が増えるか、意見を出しあいました。 【庄原格致高校・川村さん】 「(午後)3時半くらいに芸備線の三次行きの電車がある。(授業後だと)中途半端に間に合わない。これを逃すと(午後)6時の電車まで待たないといけない。学生のニーズに合わせたダイヤや利用方法を考えてみるのもいい」 【ノートルダム清心高校・増田さん】 「広島・三次間の列車が普通列車で長いと2時間近くかかる。快速はどの便も始発の駅から需要があり増便する価値がある」 【西城紫水高校・山光さん】 「折り畳みでない自転車も持ち込める専用のスペースがあれば幅広い利用者の増加が見込めると考えました。駅から西城高校までの道のりが結構遠いので自転車でそこから通学できたらいい」 また、観光客を呼び込む工夫が必要だという声も相次ぎました。 【新見高校・加藤さん】 「様々な観光地があるので、それをイメージしたラッピングや、列車の内装もつり革や席などの柄を変えると乗る楽しみが増える」 【三次高校・武原さん】 「お好み焼きを車内で焼いて食べられる列車(を提案)。広島らしくて面白い」 芸備線を日々利用する高校生だからこそ出てくるアイデアの数々に、会場は熱気に包まれます。 芸備線は彼らにとって単なる移動手段ではありません。 【日彰館高校・瀬戸さん】 「電車内、誰もいないので立ち歩いたり、自分の家みたいに(使ってる)」 【西城紫水高校・河内山さん】 「庄原駅から西城までの通学の時間が少し長いので、友達と話せる時間が多いので楽しい」 乗車時間は、学生生活を彩るかけがえのない時間です。 最後に地域住民に呼びかけました。 【高校生代表によるアピール】 「地域課題をみんなで考えて行動し、地域づくりで日本一注目を浴びるようにしていきましょう」 【参加者(三次市在住)】 「きょうみたいに高校生と一般の方とカいろんな集まりがあって活動すれば、だんだんと広がったりするので、いろんなことでどうすればいいのかを考えたらいい」 【三次市・福岡誠志 市長】 「利用者視点で高校生の皆さんが色んな課題の把握だったり、色んな話を聞けて今後の参考になった」 サミットでは高校生が作った芸備線応援ソングも披露され、今後もSNSで発信したり、イベントを計画したりして芸備線の利用を促すことにしています。