(朝日新聞より)
(原武史さんの現場思考)赤字路線 PR十分?乗客増えようなく…呆然(原武史さんの現場思考)赤字路線 PR十分?乗客増えようなく…呆然:朝日新聞 2000年代以降、地方の赤字鉄道の廃線が止まらない。地元の足である鉄道がなくなると、いったいどうなるのか。日本政治思想史が専門で鉄道ファンでもある原武史さんと東京近郊の赤字路線に乗って考えた。 真夏…www.asahi.com
2000年代以降、地方の赤字鉄道の廃線が止まらない。地元の足である鉄道がなくなると、いったいどうなるのか。日本政治思想史が専門で鉄道ファンでもある原武史さんと東京近郊の赤字路線に乗って考えた。
真夏日が続いていた7月。JR東日本の木更津駅(千葉県木更津市)に降り立った原武史さんは心底暑そうだった.
JR内房線が走る同駅は、JR東日本随一の赤字路線「久留里線」の始発駅でもある。
JR東日本は24年11月、久留里ー上総亀山間の鉄道廃止とバスなどへの転換を視野に入れた協議を千葉県と君津市に申し入れた。現在も地元住民を対象に、代替路線に関する説明会が続く。
途中の久留里駅を過ぎると、線路の周りの緑がひときわ濃くなった。「まるで秘境に行くようですね」と話すうちに上総亀山駅に着いた。
「久留里線と地域を守る会」が駅前で、路線バスへの転換後に利用者が67%も減ったJR北海道の事例などを掲示していた。
PR十分?乗客増えようなく…呆然
下車した乗客のほとんどが約20分の待ち時間をへて、同じ列車で折り返す。
「いわゆる盲腸線で、終点がどの路線にもつながっていないうえ、魅力を伝えるPRも決して十分とは思えない。これでは、この鉄道を生活路線とする地元住民以外、客が増えようがないでしょう。運営会社はこの路線を早めに安楽死させたかったのかもしれません」と原さん。
木更津駅に着くと、有人改札に列ができていた。久留里線の大半の駅には切符の自動販売機がなく、IC乗車券も使えない。
これが羽田空港から高速で40分弱の光景かと思うと、しばし呆然とした。
(原さんのメッセージ)
地域ならではの”強烈体験”を
ぼくが鉄道を重要だと思うのは、窓口でもある駅という存在が地域の中心として機能していることが多いからです。
鉄道がバス路線になってしまうと、残るのはバス停だけ。バス停は道路脇の単なる目印であり、人々の集まる場所にはなり得ません。
久留里線に乗車し、同じ千葉県の小湊鉄道のことを思い出しました。あちらは地域住民の足になっているだけではなく自治体と協力し、沿線で開かれる芸術祭などとタイアップすることで観光客を呼び込んでいる。
(編集部より:テレ東BIZのニュースです)

地方の鉄道が赤字から脱却するうえで必要なのは、そこでしか体験できない強烈な付加価値を生み出すこと。
地域を大切に思い、そこにある資源を生かそうとする努力が道を切り開くと思います。